書評

【書評】石津朋之『戦争学原論』(筑摩選書、2013)

石津さんの『戦争学原論』を読みました。「戦略」に興味を持っていて、評価も高かったこと、石津さんが防衛省防衛研究所の偉いさんだったことから、読んでみることにしました。 本書は戦争を学問として捉え、戦争とは何か?、戦争の原因、平和、戦争指導、国…

【書評】國分功一郎・古市憲寿『社会の抜け道』(小学館、2013)

古市さんと國分さんの『社会の抜け道』を読みました。古市さんは85年生まれの気鋭の社会学者で、國分さんは『暇と退屈の倫理学』を書いた売れっ子の哲学者です。そんな2人の対談とあって、どんな内容になるのか知りたかったので、読んでみることにしました…

【書評】藤崎憲治『昆虫未来学』(新潮選書、2010)

藤崎さんの『昆虫未来学』を読みました。市の図書館で何気なく面白そうな本を探していた時に見つけました。たまには植物や昆虫から学んでみるかと思い読んでみることにしました。 知らないことだらけでした。特に驚いたことを数点紹介します。 1点目は、70…

【書評】D・L・エヴェレット『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』(みすず書房、2012)

エヴェレットさんの『ピダハン』を読みました。スポーツの世界で優秀な選手が外国に移籍しても「言語」で躓いて、活躍できず帰ってくるという話を良く聞きます。その話を聞くと、「言語」はとても大切なんだな、と言うアホみたいな感想を抱くとともに、その競技が…

【書評】梅原大吾『勝負論 ウメハラの流儀』(小学館新書、2013)

プロゲーマーの梅原さんの『勝負論』を読みました。前著の『勝ち続ける意志力』はアマゾンのレビューが150以上も書かれたりと大好評になっていました。当然、僕も読みまして、面白かったので、本書も読んでみることにしました。 著者のウメハラさんは対戦型…

【書評】竹内一郎『ツキの波』(新潮新書、2010)

竹内一郎さんの『ツキの波』を読みました。本書は「ツキ」について阿佐田哲也(色川武大)さんの思想を引用しながら考えています。 ツキについて人は次のように考えている人も多いでしょう。ツキについて人は制御できない。だから「運命は神の考えるものだ。…

【書評】多田隆治『気候変動を理学する』(みすず書房、2013)

多田隆治さんの『気候変動を理学する』を読みました。 地球温暖化とCO2の関係について知りたかったことと、「古気象学」について勉強したかったので手に取りました。 本書はサイエンスカフェ(街中のカフェや喫茶店などのリラックスした雰囲気の中で、お茶や…

【書評】岡田斗司夫『僕らの新しい道徳』(朝日新聞出版、2013)

岡田斗司夫さんの『僕らの新しい道徳』を読みました。 岡田さんはレコーディングダイエット(僕は失敗しました。)やオタク代表のイメージがあり、そのなんだか面白そうな人の対談集を見つけたので買いました。また対談相手も、古市憲寿さん(社会学者)・開…

【書評】奥山清行『100年の価値をデザインする』(PHPビジネス新書、2013)

奥山清行さんの『100年の価値をデザインする』を読みました。奥山さんが「イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした人」ということを知っていたということと、『人生を決めた15分 創造の1/10000』や『伝統の逆襲』が面白かったことから、本書を読ん…

【書評】古屋将太『コミュニティ発電所』(ポプラ新書、2013)

古屋将太さんの『コミュニティ発電所』を読みました。題名に惹かれ購入しました。 古屋さんは認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)の研究員をされている方です。(ISEPのHP:http://www.isep.or.jp/) そもそもNPOとは何でしょうか?例えば環境や福…

【書評】日野瑛太郎『脱社畜の働き方』(技術評論社、2013)

日野瑛一郎さんの『脱社畜の働き方』を読みました。日野さんは「脱社畜ブログ」の筆者で、良くはてなのHPのトップに掲載されていて、その存在を知りました。僕は脱社畜ブログの新参の読者なので、詳しく氏の思想を知るために、本書を読みました。 書いてある…

【書評】日野行介『福島原発事故県民健康管理調査の闇』(岩波書店、2013)

日野行介さんの『福島原発事故県民健康管理調査の闇』を読みました。原発問題は興味を持っている分野なので、とりあえず読んでみることにしました。 県民健康管理調査とは、福島県のHPによると、 (引用開始)東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故によ…

【書評】大治朋子『アメリカ・メディア・ウォーズ』(講談社現代新書、2013)

最近、新聞は紙媒体からニュースサイトに移行したり、記事の共有化などを進めたりとジャーナリズムが変化しています。そのような変化を丹念に取材し、メディアがどうなっていくか?を考察したものが本書です。アメリカが舞台となっています。 僕はジャーナリ…

【書評】辻村英之『農業を買い支える仕組み』(太田出版、2013)

最近、『(株)貧困大国アメリカ』『食の戦争』『食糧の帝国』などを読み(本ブログにレビューを書きました)、食に関して興味を膨らませていました。食糧の安定が国家の基礎であり、日本はそれがなってないらしいということを学びました。 「グローバルな現…

【書評】ジェイムズ・オーウェン、ウェザーオール『ウォール街の物理学者』(早川書房、2013)

読み物として秀逸。時間を忘れて読めます。「経済や市場の動きを予測する」ことに没頭した天才物理学者・天才数学者の「試行錯誤の物語」が面白いです。 僕は中学の時に『経済物理学の発見』という本を読んで、物理学が経済予測に活かされていることを知りま…

【書評】『週刊SPA!』原発取材班『原発依存国家』(扶桑社、2013)

本書は福島第一原発の事故後、「週刊SPA!」とWebサイトの「日刊SPA!」の原発関連記事を厳選して再掲載したものです。 個人的な意見ですが、週刊誌モノは話半分に聞いたほうが良いです。いたずらに感情を煽ったり、裏が取れないまま載せたりすること(本書に…

【書評】ロルフ・ドベリ『なぜ、間違えたのか?』(サンマーク出版、2013)

この書評を読んでいる暇があるなら、直ちに大きな本屋さんに行って、本書を買いましょう。1700円でこの内容は間違いなく買いです。面白いです。 話のネタに困っている人、大事な決断をする立場の人、学者、物書きにオススメです。 この本はsmoothさんの「マ…

【書評】フィフィ『おかしいことを「おかしい」と言えない日本という社会へ』(祥伝社、2013)

フィフィさんの『おかしいことを「おかしい」と言えない日本という社会へ』を読みました。僕が最初にフィフィさんを見た時は、日本語の上手い外タレで毒舌家というイメージを持ちました。そして時は経ち、日本の義務教育を受け大学を出ていることを知り、す…

【書評】ビートたけし・竹内薫『コマ大数学科 特別集中講座』(扶桑社、2013)

本書はビートたけしさんと竹内薫さんが数学の面白さ、映画の楽しさを語る本です。竹内さんとビートたけしさんが数学の問題を解いて、語り合っています。 僕は北野映画のファンでして、その世界の北野氏が映画を語るとあって購入しました。 読み終わってみる…

【書評】池澤夏樹『終わりと始まり』(朝日新聞出版、2013)

『終わりと始まり』を読みました。著名な小説家である池澤さんのエッセーはどんな感じなのだろうか?と思い手に取ることにしました。 本書は朝日新聞の夕刊で月1回連載されているコラムを収録したもので、沖縄の問題や水俣病、電力問題について、その時々の…

【書評】エヴァン・D・G・フレイザー、アンドリュー・リマス『食糧の帝国』(太田出版、2013)

堤未果さんの『(株)貧困大国アメリカ』や鈴木宣弘さんの『食の戦争』を読む中で、現代の食糧事情や問題点はなんとなく理解できたものの、そこから何かを論じるにはまだ知識不足だと感じていました。そこで、歴史的に食糧はどのような役割を果たしたのか?…

【書評】木暮太一『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版、2013)

本書は漫画『カイジ』をネタに「お金」を学ぶ本です。 『カイジ』とは、「自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけにギャンブルの世界にのめり込んでいくという大人気漫画。(1頁)」です。 僕は『カイジ』の…

【書評】堀江貴文『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』(角川書店、2013)

僕は獄中記が好きです。その人の本性が見られるから。また、獄中という極限状態において、人は何を思うのか?に興味があるからです。当然、堀江さんの『刑務所なう。』も読みました。 その獄中で読んだ本から「いろいろ考えたこと」を書いたのが本書です。さ…

【書評】朝日新聞経済部『電気料金はなぜ上がるのか』(岩波新書、2013)

朝日新聞経済部の『電気料金はなぜ上がるのか』を読みました。この本は連載記事の「教えて!電気料金」を再構成し、加筆したものです。 僕はハッキリ言って、この本はハズレでした。「なぜ上がるのか」を期待して読んだのに、「なぜ高いのか」しか書かれてい…

【書評】家村和幸『なぜ戦争は起きるのか』(宝島新書、2013)

家村さんの『なぜ戦争は起きるのか』を読みました。家村さんは元自衛隊の戦術教官をされていた方です。本書はその家村さんが「なぜ戦争は起きるのか?」について記述した本です。 この本は、22頁の国家紛争と国家間紛争の表と27頁の武力紛争の発生状況の図が…

【書評】鈴木宣弘『食の戦争』(文春新書、2013)

鈴木宣弘さんの『食の戦争ー米国の罠に落ちる日本』という本を読みました。著者の鈴木さんは農林水産省に入省し、現在は東大大学院の教授(専門:農業経済学)をされています。 最初に、世界的には「食料は軍事・エネルギーと並ぶ国家存立の三本柱だ」(15頁)…

【書評】吉田貴文『世論調査と政治』(講談社+α新書、2008)

『世論調査と政治』という本を読みました。最近、データジャーナリズムという言葉も聞かれるようになり、アメリカの大統領選で紙媒体の選挙の当落調査より正確に予測した、ということをうっすら覚えていました。 なので、昔からある調査はどのようにやってい…

【書評】工藤公康『現役力』(PHP新書、2009)

元ダイエー、巨人の工藤さんの『現役力』を読みました。なぜ、この人は長く現役を続けられたのか?知りたく本書を手に取りました。 まず、野球ファンじゃない方は工藤さんについてあまり知らないと思いますので、ざっくりと説明しますと、40代後半まで投げた…

【書評】岩田健太郎『99.9%が誤用の抗生物質』(光文社新書、2013)

岩田健太郎さんの『99.9%は誤用の抗生物質』という本を読みました。抗生物質は「処方される時はだいたい重症だけど、それを飲めば治る。」というイメージがありました。題名からそのイメージを壊してくれそうだったので読んでみることにしました。 まず、こ…

【書評】外山滋比古『思考力』(さくら舎、2013)

外山滋比古さんの『思考力』を読んだ。以前に外山さんの『思考の整理学』を読んだことがあり、その繋がりで本書を手に取った。 エッセイ風になっていて、肩肘張らずにサクっと読める。この本が言いたいことは主に以下の3点。 ①現代は知識編重である。もっと…