【書評】渡辺明『勝負心』(文春新書、2013)

  渡辺明さんの『勝負心』を読みました。僕は趣味で将棋をしています。渡辺先生は次世代のエースとして活躍されていて、強烈な強さを持っているという印象を持っています。若手の代表格である渡辺さんが何を考えているのかが知りたかったので、読んでみることにしました。

 

 

 渡辺先生について説明しておきますと、将棋界の主要7タイトルのうちの「竜王」とタイトルを9連覇され、現在は竜王と棋王と王将の3タイトルを所持されています。また競馬を趣味としています。

 

 やはり、渡辺さんを語る上で欠かせないのが、羽生さん(羽生善治、将棋界の神様的存在)ですが、将棋関係者には知っている内容も多いので、あまり収穫はなし。

 

 ですので、渡辺先生の思考が端的に表れている箇所を何個か挙げて終わりにします。

思考法1:秘策は温存せずにすぐ使う。(27頁)

 なぜなら、温存しても、試す機会を逸する恐れがあるから。作戦が上手くいかず負けても、失敗が未然に防げるから。

思考法2:「調子」という概念はない。(96頁)

思考法3:勝負を決めるのは事前準備。(105頁)

思考法4:「想定外」を想定する。(119頁)

 相手の次の一手を読む時に、3つ読むそうです。ひとつ目は、本筋の一手。ふたつ目は、裏切りの一手、勝負手。みっつ目は、奇想天外のリスキーな一手。3つ目を読むことで、気持ちに余裕が生れるのだ。

 

 また、最近話題のコンピュータ将棋について書かれていたり、事前準備における将棋のデータの扱い方について書かれていたりしていて、興味深い内容となっています。

 

 以上です。では、このへんで失礼します。

勝負心 (文春新書 950)

勝負心 (文春新書 950)