【書評】工藤公康『現役力』(PHP新書、2009)

 元ダイエー、巨人の工藤さんの『現役力』を読みました。なぜ、この人は長く現役を続けられたのか?知りたく本書を手に取りました。

 

 まず、野球ファンじゃない方は工藤さんについてあまり知らないと思いますので、ざっくりと説明しますと、40代後半まで投げた、レジェンド級(224勝)のピッチャーです。(野球界では40歳で大ベテラン。200勝投手は現在24人。)

 

 本書の言いたいことは3点あります。

1点目は、野生の目を取り戻そう。

 日本のプロ野球界は、はっきり言って甘やかされた世界。だから、自分で自分を厳しい精神状態に追い込もう。(15頁)これは工藤さんがアメリカのマイナーリーグに留学した時に、マイナー選手が血眼になって野球をしていたそうです。その様子を見て危機感を持ったそうです。

2点目は、社会で生き残りたいなら、勘違いから早く脱出するべし。

3点目は、「気付く力、考える力」が大切である。

 東尾さんに「身体に力がない」と言われ、工藤さんは悩んでしまいました。考え倒した結果、誰に対してではなく、何に対してと解釈しました。そこでウエイトトレーニングに取り組んで、各パーツ強化し、ランニングを増やしました。そうしたところ身体がブレなくなったそうです。

 他人と比較することは虚栄心を満たすだけ。自分の進む方向が分からなくなる恐れがあるので、避けましょうとのことです。さらに、自分でまずやってみることが大切だともおっしゃっています。

 特に3番目は、僕も新鮮でした。読んで良かったと思える部分です。 

 

 本書は、分かりやすい言葉で書かれていて、1時間程度で読めます。ただ、精神論が少し多めなので、嫌いな人は嫌な思いをするかもしれません。注意しましょう。

 ですが、特に野球をしている少年や、スポーツをしている人には自身を持ってお勧めできる本です。夏休みの読書感想文の題材にどうぞ。

 

 では、このへんで失礼します。m(__)m