【書評】岩田健太郎『99.9%が誤用の抗生物質』(光文社新書、2013)

 岩田健太郎さんの『99.9%は誤用の抗生物質』という本を読みました。抗生物質は「処方される時はだいたい重症だけど、それを飲めば治る。」というイメージがありました。題名からそのイメージを壊してくれそうだったので読んでみることにしました。

 

 まず、この本を読む前に、本書を読むための注意点を共有しておく必要があります。それは2点あります。

注意点1:「抗生物質を出す医者は、ダメ医者だ」とか「医者に殺されるぞ」という脅しをかける本ではありません。また、抗生物質「そのもの」を悪者扱いするための本でもありません。

注意点2:抗生物質の使われ方が問題であり、「どこがどのように間違っているのか。なぜ間違っているのか。それを明らかにする」ために本書を執筆しました。

 

 では、次にどのような条件の時に、抗生物質を使って良いのでしょうか?それは、副作用のリスク・耐性菌発生のリスク・お金のリスク・物流のリスク(抗生物質も使いすぎると無くなってしまうので、その時に本当に必要な人に届かなくなるということ。)の4つのリスクを超える便益があるとき、と書かれています。

 

 この本を読むまで知らなかったのですが、「抗生物質で殺せるのが細菌で、殺せないのがウイルス(33頁)。」らしいです。なにかの時に役に立つかもしれないので、メモっておきましょう。

 

 最後に本書は、「データを見ずに、患者を診よう。」と説いています。取りあえずこの薬を飲んでおこう、ではいけない。お医者さんも取りあえず(訴訟)リスク軽減のために、この薬を処方しておこう、ではいけない。しっかりと患者さんを見て、その人にあった治療をするべきだと書かれています。当然ですね。

 ですので、患者の方も自分は○○という薬を飲んでいて、症状は××で、と言うようにしましょう。

 

 この本は、高齢者などの介護をしている方、うちの子供は大丈夫なのか?と心配する奥様方にお勧めです。

 

 では、このへんで失礼します。m(__)m