【書評】大治朋子『アメリカ・メディア・ウォーズ』(講談社現代新書、2013)

 

 最近、新聞は紙媒体からニュースサイトに移行したり、記事の共有化などを進めたりとジャーナリズムが変化しています。そのような変化を丹念に取材し、メディアがどうなっていくか?を考察したものが本書です。アメリカが舞台となっています。

 

 僕はジャーナリスト(記者)になりたかった。センスがなく違う職に就くことになったものの、今でもカッコいい職のひとつと信じています。権力を監視し、間違いや問題点を指摘できること、興味のあることをトコトン調べられること。羨ましい。

 しかし、そんな僕が目指した記者業(マスコミ)が、最近、マスゴミなどと言われ、若者も新聞を読まなくなっており、経営も厳しいところもあると聞き、悲しい気分になっていました。ジャーナリズムは死なないんだ!彼ら記者の使い方次第(言いかたが悪くてすみません。m(__)m)でもっと面白くなると信じていました。

 そういう事情もあり、どうしたらもっとジャーナリズムが魅力的になるのか?を知りたくて本書を手に取りました。

 

 ニューヨークタイムズの経営が厳しくなり人員を削減したり、ボストンにある老舗のボストン・グローブ紙が、親会社(NYT社)がグローブ紙を売却するといったことから、廃刊の危機に会ったりしていました。

 危機にあったらどうするのか?以下の5個の選択肢の内のいくつかが今後の新聞業界の行く道のヒントになります。

①予算・人員・新聞の頁ページを減らす。

②報道するニュースの種類や地域・業界を限定する。

③調査報道の取材体制の見直し

④ウェブサイトの拡充

⑤電子媒体への参入

⑥地域密着化の徹底

 この内、アツイ動きを見せているのは、③と⑥らしいです。⑥は地方紙が記事を共有したり、大手紙と組んでみたりと動きを見せています。最もアツイのは③です。大学を拠点とした調査報道専門集団が立ち上げられたり、VOSD(オンライン専門NPOメディア)のように調査報道NPOがたくさん立ちあげられたりしています。

 このように調査報道に力を入れることでどんどん面白い記事、問題点を指摘する記事を増やしていこうとしています。さらに最近はデータをトコトン集めた足を使った記事がトレンドとのことです。データジャーナリズムのことですね。

 

 翻って日本はどうでしょうか?僕は調査報道主体の新聞があれば絶対に買います。面白い記事、為になる記事が読みたいのです。新聞記者の方よろしくお願いします。

 

 本書はジャーナリズム関係者の方、ジャーナリズム志望の方、マズゴミなどといっている人などにオススメします。面白いですよ。