【書評】ロルフ・ドベリ『なぜ、間違えたのか?』(サンマーク出版、2013)

 この書評を読んでいる暇があるなら、直ちに大きな本屋さんに行って、本書を買いましょう。1700円でこの内容は間違いなく買いです。面白いです。

 話のネタに困っている人、大事な決断をする立場の人、学者、物書きにオススメです。

 

 この本はsmoothさんの「マインドマップ的読書感想文」の9月10日の「【全16冊】未読本・気になる本(2013年9月10日)」という記事で知り、面白そうなので買いに行きました。(同サイトの今日の記事に本書の書評があります。)

 

 本書は「ドイツ発、世界各国でベストセラー(帯より)」で、誰もがハマる52の思考の落とし穴を解説しています。1つの罠の説明が5頁程度にコンパクトに纏まっていて、スキマ時間にも読みやすくなっています。

 僕も罠に嵌りまくっていました。これを読むだけで変わるかというと、疑問ですが、「どういう罠があり、それはこうすれば回避できる」と意識すれば、だいぶ改善されます。

 

 では、具体的にどんな罠があるのかについて2点、解説します。

 最初は落とし穴15(87頁)の「お抱え運転手の知識のワナ」です。

 お抱え運転手とは、知ったかぶりをする人、自分を必要以上に誇示する人のことです。説得力があるように見えるかもしれませんが、その人の知識には中身がなく、雄弁だが、空虚な言葉ばかりです。

 こういう人いますよね。では、ホンモノの知識を持っている人をどう見分けたらいいのでしょうか?ホンモノは「知っていること」と「知らないこと」を良く分かっている人のことです。そのため、分からないことには、黙っているか、分からないというそうです。

 ウィトゲンシュタインの「語り得ぬものについては、沈黙せねばならない。」ですね。

 

 次は、落とし穴27(148頁)の「ゼロリスクのワナ」です。

 ある実験をしたら、以下のことが分かったそうです。わたしたちは有毒化学物質による汚染の危険性が99%ある場合でも1%の場合でも、どちらも同じだけの恐怖を感じることが証明されたそうです。

 わたしたちは、ほんの少ししか残っていない危険を完全に取り除こうとして、しばしば巨額の資金をつぎ込むそうです。その資金を他に使えるかもしれないにも関わらず。

 

 このようなワナが52個載っています。個人的には今年のtop3に入るほどの名作だと思っています。是非読んで下さい。m(__)m