【書評】岡田斗司夫『僕らの新しい道徳』(朝日新聞出版、2013)

 岡田斗司夫さんの『僕らの新しい道徳』を読みました。

 

 岡田さんはレコーディングダイエット(僕は失敗しました。)やオタク代表のイメージがあり、そのなんだか面白そうな人の対談集を見つけたので買いました。また対談相手も、古市憲寿さん(社会学者)・開沼博さん(社会学者、『「フクシマ」論』の著者)・橘玲さん(作家)・東浩紀(思想家)など有名な人とあって買いました。

 

 内容は玉石混交。しかし、小林よしのりさん(漫画家)と開沼さんの章は「玉」でした。こういう複数の対談が一冊になった本は一個でも面白いと思うものがあれば買った甲斐があったと思ったほうが良いです。対談なので、個々が良くても両者の相性がダメだと面白くないですし。では、小林さんの章だけ少し紹介します。

 

・岡田 × 小林 「市民ー’庶民’が’大衆’になり果てるとき」

●道徳と倫理の違いについて

物事をためらうときに、「人様に恥ずかしいから」という理由だったら道徳、「お天道様が見ているから」が理由だったら倫理(104頁)。

●今は「貧乏」じゃなくて「貧困」がひどい。貧乏を楽しむ余裕がない、精神的な貧しさがある。昔は貧乏人どうしで共同体があった。これは経済が原因で。経済が良くなり、若者に希望を与えれば良いのでは?

●わし(小林さん)が脱原発を主張しているのも、結局今の生活様式や経済のあり方を変えたいというのがある。(中略)脱原発をきっかけにして、雇用を国内で生んでいくシステムにしたほうがいい。

この部分に関しては、疑問。雇用を産み出すなら、税金を安くして海外の企業を誘致するとか、新産業を作るとかしたほうが早い。脱原発をネタにつかうべきではない。

●生活実感があるのが「庶民」、ないのが「大衆」。今はマスコミの影響で大衆化が深刻になっている。わしは原発が導入された大阪万博のときを知っていて、日本は原発がなくてもやっていけることを知っている。原発が稼働して、むしろ経済が悪化した。

この部分も変にこじつけている。「原発稼働のせいで経済が悪化する。」っておかしな理論。

 

 こんな感じです。誰かひとりでもファンがいれば買いです。。