【書評】ナラク-ゴビンダ・マイナリ獄中日記

 ゴビンダさんの獄中記を読みました。以下、書評です。

 

 まず、この本の概略ですが、東電OL殺人事件の犯人に間違えられた、ネパール人のゴビンダさんの、誤認逮捕から逆転無罪までの15年間の日記を纏めた本になっています。

 

 終始、淡々とした文章で書かれ、感情は押し殺されています。爆発してもおかしくない状態であるにも関わらず。本書は家族への愛、「真実は最後には勝つ」という信念で満たされています。その強靭な精神に尊敬の念さえ生まれます。

 

 第1章、20頁に、《「日本は、弱い者を差別する極致だ。そのことがまたあからさまになった。ネパールという、小さくて貧しい国の人間だから、軽んじられたのだ。」(中略)「日本の警察。検察は、ジャングルの虎のようなものだ。暴力だけで智慧はない。日本の裁判所、裁判官は、その虎の言葉を代弁するだけの存在だ。」(引用終了)》と記述されています。

 このように思われているなんて、恥でしかない。ゴビンダさんに対して書類の内容を良く理解させないままサインを強要させたり、どれだけヒドいんだ、と憤りさえ覚えました。

 

 本書を読んで、「裁判官などといった頭の良い人が、なぜ、悪事を働くようになるのか?」と考えた。①自分の利益のため、②空気に支配されてしまった、などの理由があると考えられますが、どうもしっくりこないです。

 そのため、これからゆっくり考えるテーマになりそうです。山本七平さんの『空気の研究』や池田信夫さんの『「空気」の構造』を再読してみようかな。

 

 では、このへんで失礼します。m(__)m