【書評】現代科学の歩きかた

 

 池内了さんの『現代科学の歩きかた』を読みました。以下、書評です。と言いたいところですが、本書はエッセイなので、読書メモ風にします。

 

 池内さんは本書で、「科学の光と影に対応する二つの顔をじっくり味わってほしい」(5頁、はじめに、より引用)と語っており、終始そのように進んでいきます。また高学歴ワーキングプア問題(125頁)やC・P・スノーの「二つの文化と科学革命」の指摘に同調し、文理の分断(82頁)を危惧されていました。

 

 また、最近の本ということもあって、原子力発電の問題にも言及されています。安全神話を信じ込まされた結果、疑似科学(科学のような顔をしていて、真正の科学ではないもの)化してしまった。

 真正の科学になるためには、事故を細かく検証しなければならず、すべての事故の側面を洗い出し、そのひとつひとつについて必要な改善策を明らかにし、安全策を明らかにするべきだとも言っていました。

 

 本書はオジサンよりも高校生・大学生が読んでほしいです。非常に丁寧に書かれていて、そのテーマに無知であっても、最後まで苦労して読めば、なんとなくではありますが理解できるようになります。寝る前などにオススメです。